2013年3月5日火曜日

第四生物 言語・文字・印刷・インターネット・攻殻機動隊・人類補完計画・王蟲?

非常に興味深いニュースが飛び込んできた。

遠く離れたラットの脳を接続、米・ブラジル間で成功
複数の頭脳をつなぎ合わせて「スーパー脳」を創造する試みとして、遠く離れた北米と南米の実験室にいるラットの脳を電極でつなぎ、片方のラットが覚えたことを別のラットに伝えることに成功したという。

オバマ大統領は人類の全脳の機能を解明する国家プロジェクトを立ち上げようとしているとも報道されている。

これらのニュースを聞いて、「攻殻機動隊の電脳化社会が始まった!」とか、「ゼーレが人類補完計画の一部を顕在化した」とか、「ゆくゆくはナウシカの王蟲だよな」とか、私をはじめ一部の人々はワクワクしていると思う。

上記の各言葉は、知っている人には説明不要だし、知らない人にはそれぞれ説明が長くなるが、ブログの展開上、必要最小限説明しよう。

漫画・アニメ「攻殻機動隊」で描かれる近未来社会では、延髄に直接ネットワークケーブルを接続できるようになっている。サイボーグ達は、音声等を経由せず直接コミュニケーションを図っている。
「新世紀エバンゲリオン」の世界では、世界を裏から操るゼーレと呼ばれる組織が描かれる。ゼーレは「人類補完計画」と呼ばれる全人類の自我を融合する計画によって、人類の危機を回避することを画策している。
アニメの原作「風の谷のナウシカ」に出てくる王蟲は群全体が「個ニシテ全、全ニシテ個、時空ヲ超エテ心ヲ伝エユク」存在として描かれている。

これらすべてに共通していることは、個々の個体を超えて知識・意思・感情・心などを共有している生命体が出てくるということだ。それだけならば単なるアニメの設定の話だったが、現実に「スーパー脳」の実験が始まったとなると、「情報を共有する生物」のことを考えることも意味がでてくる。

実は「情報を共有する生物」という概念で括ると話はもっと大きなトレンドの中で捉えることができる。
600万年前に二足歩行を始めた人類の祖先は、十数万年~数万年前に、単なる感情や警戒警報だけではなく「知識」を伝える方法として「言語」を操り始めた。そして1万年~数千年前に世界各地の古代文明で「文字」が発明され、時間や空間を越えて知識が共有された。そして紙の発明・活版印刷・放送・インターネットと時代の流れを追って行くと人類の進化の方向性として「情報を共有する生物」が必然のようにも思えてくる。

このトレンドを「人類の進化の方向性」ではなく「生物の進化の方向性」と捉えるとさらにもっと大きなトレンドが見えてくる。

およそ30億年前、初期の地球が冷え、海が誕生するとそこに原核生物(ここでは第一生物と呼ぼう)が誕生した。原核生物とは遺伝情報がまとまった細胞核を持たない単細胞生物のことだ。

光合成を行う原核生物や酸素呼吸を行う原核生物が融合して遺伝情報が纏まった細胞核を持つ真核生物(同、第二生物)が誕生した。光合成を行う原核生物や酸素呼吸をになう原核生物は真核生物内の細胞小器官、それぞれ葉緑体やミトコンドリアとなった。

20億年前、真核生物の一種シアノバクテリアによって地球大気に蓄積された高濃度の酸素によって生物は効率よく運動することが可能となり、6~5億年前に多細胞生物(同、第三生物)が爆発的に分化した。(カンブリア爆発と古生物学では呼ばれる)

第一から第三生物を考えるとそれぞれ生命の基本の部分で大きな変革が起きていることがわかる。現在起きている出来事が最終的に生命システムとして情報共有を起こすかはわからない。しかし、現在のこの状況は「情報を共有する生物」という第四生物の誕生中と捉えると分りやすい。(ちなみにこの「第四生物」という概念は私の自作ではなく放送大学でやってました。)

「『情報を共有する生物』という意味ならば、蟻や蜂などコロニーとして生存し、個々の個体が生殖・生産・防衛などを分担する、いわゆる社会性昆虫がいるではないか」というツッコミが聞こえてくる。
確かに餌のありかなど情報を共有する昆虫は存在するが、社会性昆虫はほとんど遺伝子を共有していて、人間のように自我を持った段階以降の情報共有ではなく、どちらかというとコロニーとして多細胞生物に近い気がする。

第四生物が、自我を超越したのならば、どの様な宗教を持つのかわからない。突然「世界」に放り出された「孤独な自我」が「自身」と「世界」をどう認識・解釈するかが宗教の肝であるからだ。またおそらく第四生物は、類としては殺し合いは行わないだろうから世界政府を実現しているかもしれない。

第四生物は、おそらく現在の人類から生まれるだろうが、全人類がそのまま移行するとは限らない。クロマニヨン人は現生人類と争って姿を消したのかどうかわからないが、現在の世界では見当たらない。それと同じように「情報を共有する生物」に進化できなければ、クロマニヨン人と同じ運命をたどる人々がいるかも知れない。

「私、デジタル原人なんです~。」などとへらへらしている人は、どうなっても知らないよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿