2013年3月8日金曜日

「兵法」の学校教育導入を!

学校教育で「兵法」を教えるべきだ。
できれば、基本的な概念については中学校で教えるべきだ。
文系、理系に拘わらず大学の教養課程では必修であるべきだ。
道徳の教科化などよりも、よっぽど導入して欲しい。

こんなことを書くと「極右!」、「保守反動!」、「ファシスト!」、「人殺し!」などとという非難が聞こえてきそうだ。

ちょっ、ちょっ、ちょっと待っていただきたい。
私は、人の殺し方を教えなさいと言っているわけではない。
私は、戦前の軍事教練を復活させろと言っているわけでもない。
私は、戦争の仕方を教えなさいと言っているわけでもない。
私は、「ハートランド・リムランド」のような地理政治学専門用語を教えなさいと言っているわけでもない。

「兵法」という言葉が悪ければ、「生き残っていくための戦略的考え方」と言ってもよい。
「生きる力」を構成する要素のひとつとして、彼我の状況を冷静に分析し、目的の結果を得るために、どの様に効率よく達成するかを考察する「兵法」の考え方が重要だと訴えたい。

「生きていく」ということは、生存するために必要な食料・お金・環境等の資源を認識し、内外の状況を客観的に分析し、将来に対する予想を立て、他者と協力・競合し資源を獲得してゆくことだと思っている。行き当たりばったりで生きてゆくこともできるだろうが、人間ならば頭を使って生き残る確率を上げる必要がある。これらの事項は客観的に知識化できるし、人生の様々な局面で利用できる。
それに対し「何のために生きるのか」は人生の目的であり、信教の自由とも関わるため、全国一律に教育していくことは難しいのではなかろうか?生命の尊厳など誰もが認める事項を除いては。

「兵法」というのは、狭義には国家レベルの軍事的戦略や、宮本武蔵のような武芸者の生き方・姿勢・武術を指すかもしれないが、そこには明らかに「生き残っていくための戦略的考え方」が説かれている。

大江健三郎氏は「曖昧な私の日本」と表現したが、私はそれを次のように言い換えたい。日本の社会全般に「生き残っていくための戦略的考え方」が欠落、または希薄だ、と。
それは国、地方自治体、企業、各種団体、個人においても言える。
企業経営者に限らず、日本の国、企業、団体のトップは、「経営」を戦略的・合理的・哲学的に考えていない。

日本国憲法はその前文で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べているが、残念ながらそれを許す国際情勢は、日本国憲法成立以前も、それ以後もほとんど成立していない。成立していないならば成立するように日本国政府は世界に働きかけたかと言えば、積極的に働きかけているようには見えない。
環境権など新たに憲法に加えるべきとの議論もあるが、いまだ実現していない。

厚生労働行政は、ILO勧告に積極的な対応を見せず、足尾鉱毒事件、ハンセン病の隔離政策の撤回遅延、エイズ薬害の放置など、国民の健康・労働を守るという本来の使命を積極的に実行しようとしていない。

企業経営においてはCI(コーポレイト アイデンティティ)など流行ったことがあるが、その理念を明文化し、企業風土として実現した企業は、残念ながら多くないように思う。
また経営課題の戦略的重要性の判断が遅く、広義の資本投入が不足し、適切なリスク管理がなされない。

女子柔道の体罰問題や各地の教育委員会のいじめ隠蔽等は、各組織の本来の使命を忘れているように見える。

個人については。。。(いわずもがな)

「空気」を読んで、「和を尊ぶ」のはよいが、自身の価値観・特質を明文化(自覚化)せず、内外の状況等を客観的・合理的に考察せず、各種状況の変化に応じて本来の目的と実際の行為の意味を考えず、結果的に勘・経験・度胸で各種判断が下される。

日本社会に蔓延するこれらの悪弊の多くは、自らの生存基盤(自身の特質・価値観も含め)を繰り返し戦略的に考えることによって、多くは解消するようにも思われる。現在の社会人に無理かもしれないが、教育から変えることによって、数十年で相当解消されると思うのだ。戦後の平和教育によって平和思考の国民ができたように。

残念ながら、最後に、実際に国際情勢を考える上で、「武力による他国への国家意思の強制」を考えないわけにはいかない。今日現在も世界各地で戦争行為は行われている。先進国である英国とアルゼンチンはつい30年前戦争した。北朝鮮は核・ミサイルの開発を取りやめない。

「兵とは国の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり」 孫子

戦争を語る上において、戦争をしたいが故に戦争を語るのではない。戦争というものを知ることによって戦争を起こさないためだ。戦争の悲惨さ、戦争の愚かさを学ばなければならない。そのためには構造的暴力などという専門用語は学ぶ必要があるかも知れない。。。

ともかく、「兵法」の学校教育導入を!

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